クインケ浮腫の写真を確認するとき、まず注目したいのは、一般的な目のむくみとは異なる腫れの現れ方です。
血管性浮腫では、皮膚の表面だけでなく、真皮の深い部分や皮下組織に水分がたまります。そのため、まぶたが内側から押し上げられるように膨らみ、目の開きが悪くなることがあります。
写真で見られる代表的な特徴- まぶた全体が膨らむ: 上まぶたや下まぶたが厚くなり、目の輪郭が変わって見える
- 片側だけ腫れる場合がある: 左右どちらか一方の目に目立った症状が出ることがある
- 目の周囲まで広がる: まぶただけでなく、目の下や頬にかけて腫れる場合もある
- 赤みが目立たないこともある: 一般的な皮膚の炎症とは異なり、皮膚色に近いまま膨らむケースもある
- かゆみが少ない: 通常の蕁麻疹とは異なり、強いかゆみを伴わないことがある
腫れの程度には個人差があり、軽い違和感程度から、目がほとんど開かなくなるほどの状態まで幅があります。
公益社団法人日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでも、血管性浮腫は通常の蕁麻疹と比べて皮膚の深い部分に症状が現れ、境界のはっきりしない腫れになると説明されています。
熊切あさ美さんの写真で確認できる変化2024年12月26日の「めざまし8」の報道では、熊切あさ美さんの通常時と症状が出ているときの写真が比較されました。
番組では、2017年に撮影された腫れのある写真と通常時の姿が紹介されています。また、2024年10月に撮影された写真でも右目が大きく腫れていたことが伝えられました。
特に注目されたのは、単なる寝起きのむくみとは異なり、まぶたが大きく膨らみ、目の形そのものが変わって見えるほどの症状だったことです。
ただし、こうした写真は血管性浮腫の見た目を理解する参考資料であり、写真だけで同じ病気かどうかを判定することはできません。
目の周囲が腫れる原因には、接触皮膚炎、虫刺され、感染症、眼瞼炎などもあるためです。
【原因と仕組み】なぜ突然まぶたや顔が腫れるのか?
クインケ浮腫の正式な医学用語として広く使われているのが「血管性浮腫」です。
この病気の本質は、血管から周囲の組織へ水分が漏れ出し、皮膚や粘膜の深い部分に一時的な浮腫が生じることにあります。
クインケ浮腫が起こる仕組み通常、血管の壁は水分や成分が必要以上に外へ漏れないよう調節されています。
しかし、血管の透過性を高める物質が過剰に働くと、血管内の水分が周囲の組織へ移動します。
その結果、まぶたや唇、頬などに局所的な腫れが生じるのです。
血管性浮腫の発症に関わる代表的な仕組みは、大きく次の2種類に分けられます。
1. ヒスタミンが関係するタイプ
アレルギー反応などによって肥満細胞からヒスタミンなどが放出され、血管の透過性が高まるタイプです。
食物、薬剤、昆虫などが誘因になることがあり、蕁麻疹やかゆみを伴う場合もあります。
2. ブラジキニンが関係するタイプ
血管の透過性に関係するブラジキニンという物質が過剰に働くことで起こります。
遺伝性血管性浮腫(HAE)や一部の薬剤性血管性浮腫などが該当します。
このタイプでは、通常の蕁麻疹やかゆみを伴わないことが特徴です。
重要なのは、同じようにまぶたが腫れていても、体内で起きている仕組みが異なる場合があるという点です。
クインケ浮腫の主な原因| 原因・分類 | 具体的な関係 | 症状の特徴 |
|---|---|---|
| アレルギー | 食物、薬剤、昆虫など | 蕁麻疹やかゆみを伴う場合がある |
| 薬剤性 | 解熱鎮痛薬、ACE阻害薬など | 薬の作用機序によって腫れが生じる |
| 遺伝性血管性浮腫 | C1インヒビターなどの異常 | 顔、手足、消化管、喉などに発作が起こる |
| 特発性 | 原因を特定できないもの | 突然の腫れを繰り返すことがある |
| 物理的刺激など | 寒冷、圧迫など | 特定の刺激をきっかけに発症する場合がある |
国立成育医療研究センターや大阪大学大学院医学系研究科の解説でも、血管性浮腫には複数の発症機序があり、原因によって治療方針が異なることが示されています。
また、ストレスや疲労が発作の誘因になる場合もありますが、すべてのクインケ浮腫がストレスによって起こるわけではありません。
原因が特定できないケースも存在します。
【蕁麻疹との違い】似ているようで異なる腫れ方を比較
クインケ浮腫と蕁麻疹は、まったく別の病気として切り離せるわけではありません。
実際、血管性浮腫は蕁麻疹の特殊な病型として説明されることもあります。
ただし、腫れる深さや症状の持続時間、治療に関係する仕組みには違いがあります。
通常の蕁麻疹と血管性浮腫の比較| 比較項目 | 通常の蕁麻疹 | 血管性浮腫 |
|---|---|---|
| 腫れる場所 | 皮膚の比較的浅い部分 | 皮膚の深い部分や粘膜下 |
| 見た目 | 境界のはっきりした膨疹 | 境界が不明瞭な大きな腫れ |
| かゆみ | 強いことが多い | ない、または少ない場合がある |
| 赤み | 目立つことが多い | 目立たない場合もある |
| 発生部位 | 全身の皮膚 | まぶた、唇、顔、手足など |
| 持続時間 | 数時間から1日程度 | 2~3日程度続くことがある |
| 気道への影響 | 病型によっては起こる | 喉や舌に生じると危険 |
日本アレルギー学会の市民向けQ&Aでは、通常の蕁麻疹は数時間から1日程度で消えることが多い一方、血管性浮腫は症状が現れてから元に戻るまで2~3日かかると説明されています。
蕁麻疹がなくてもクインケ浮腫は起こる?答えはYESです。
血管性浮腫には蕁麻疹を伴うタイプと、伴わないタイプがあります。
特にブラジキニンが関係する血管性浮腫では、蕁麻疹が現れないことが基本的な特徴です。
そのため、皮膚に赤い発疹がないからといって、血管性浮腫の可能性を否定することはできません。
逆に、まぶたが赤く腫れている場合でも、必ずしもクインケ浮腫とは限りません。
例えば、化粧品や洗顔料による接触皮膚炎では、かゆみや皮膚表面の赤みが目立つことがあります。感染症では痛みや熱感、発熱などが現れる場合もあります。
目の周りの腫れを見分ける際は、腫れの形だけでなく、かゆみ・痛み・発熱・持続時間・ほかの部位の症状を合わせて確認することが大切です。
【熊切あさ美の現在】めざまし8で告白した15年以上の闘病と治療経過
クインケ浮腫という病名を知るきっかけになった人も多いのが、タレントの熊切あさ美さんです。
2024年12月26日放送の「めざまし8」では、15年以上にわたって続いた顔の腫れと、診断に至るまでの経緯が紹介されました。
15年以上前から突然まぶたが腫れていためざましmediaの報道によると、熊切さんが初めて目の腫れを経験したのは15年以上前でした。
本人の説明では、前触れもなく、朝起きたときに突然まぶたが大きく腫れていたといいます。
当初は年に1回程度の頻度で症状が現れていました。
その後も原因が分からないまま症状が続き、仕事にも影響が出るようになりました。
タレントという職業柄、顔の腫れは撮影やテレビ出演にも関わる問題です。
本人は、顔に症状が出ることへの恐怖や、仕事の場に出られなくなる不安を番組で語っています。
当初は蕁麻疹と判断されていた熊切さんは、それまで医療機関でストレスや疲労が関係する蕁麻疹などと説明され、ステロイドの点滴や注射を受けていました。
しかし、2024年11月、症状が長く引かなかったことから大学病院で詳しい診察を受け、クインケ浮腫と診断されたと報じられています。
番組では、大阪医科薬科大学皮膚科の福永淳准教授が血管性浮腫の仕組みを解説しました。
熊切さんのケースについては、抗体が関係し、自分の体内のタンパク質を誤認識するような免疫の仕組みが説明されています。
これは個別の症例についての解説であり、すべての血管性浮腫に共通する原因ではありません。
熊切あさ美さんの闘病経過と現在| 時期 | 出来事 | 内容 |
|---|---|---|
| 15年以上前 | 初めての発症 | 前触れなく朝起きるとまぶたが腫れていた |
| 発症初期 | 症状の反復 | 当初は年1回程度の頻度で発生 |
| その後 | 医療機関で治療 | 蕁麻疹などと判断され、ステロイド治療を受ける |
| 2024年11月 | 大学病院で診断 | クインケ浮腫と診断されたと報道 |
| 2024年12月26日 | めざまし8で告白 | 写真とともに15年以上の闘病経験を公表 |
| 2026年7月 | 近況インタビュー | 月1回の注射と薬の処方を続けていると説明 |
2026年7月14日公開の「OTONA SALONE」のインタビューでは、熊切さんが改めてクインケ浮腫について語っています。
記事では、44歳のときに診断がついたこと、15年以上にわたって目元や顔の腫れに悩んでいたことが紹介されました。
現在の治療については、月1回の注射と薬の処方を続け、症状が出ないように気をつけていると説明しています。
つまり、2026年7月時点で確認できる近況は、治療を継続しているというものです。
病気が完全に治ったと公表されたわけではありません。
熊切さんの経験から分かるのは、顔の腫れが長期間続いても、適切な検査によって病名が判明し、治療につながる可能性があるということです。
本人は、同じような症状で悩む人に向けて、次のような思いも伝えています。
「自分が発信することによって、同じ病気の方に、頑張って治療すれば治せるよっていうことを伝えられたらいいなと思います。」
これは2024年12月26日の「めざまし8」で紹介された本人の発言です。
症状の写真を公表した背景には、同じように原因が分からず悩んでいる人に病気を知ってもらいたいという思いがありました。
【受診目安】まぶたが突然腫れたら何科に行くべき?
クインケ浮腫が疑われる場合、重要なのは腫れの程度だけでなく、どこまで症状が広がっているかです。
特に注意したいのは、喉や舌、口の中などの粘膜に腫れが生じるケースです。
すぐに救急対応が必要な症状次のような症状がある場合は、気道が狭くなる危険性があります。
- 舌や喉が突然腫れてきた
- 息苦しい、呼吸がしにくい
- 声がかすれる、声が出しにくい
- 唾液や食べ物を飲み込みにくい
- 急速に口の周囲や顔全体が腫れている
- めまいや意識が遠のく感覚がある
こうした症状が現れた場合は、様子を見ずに119番で救急車を呼んでください。
遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアムも、咽頭や喉頭に浮腫が生じた場合には呼吸困難につながる危険があると説明しています。
まぶただけが腫れている場合は?呼吸や飲み込みに問題がなく、まぶたの腫れだけが見られる場合でも、初めての症状や原因不明の腫れであれば医療機関で診察を受けることが望まれます。
受診先としては、皮膚科やアレルギー科が候補になります。
症状に応じて内科や眼科での診察も必要です。
特に、次のような状態は早めの受診を考えてください。
- 突然まぶたが大きく腫れた
- 数日たっても腫れが改善しない
- 何度も同じような腫れを繰り返す
- 唇や頬などにも腫れが広がっている
- 新しい薬を使い始めてから症状が出た
- 家族にも似たような腫れの経験がある
また、強い目の痛み、発熱、視力の変化、目を動かしたときの痛みなどがある場合は、血管性浮腫以外の眼科的な病気も考えられるため、速やかに眼科や救急外来で評価を受ける必要があります。
病院ではどのような検査をする?診察では、まず症状が出たタイミングや腫れた部位、過去の発症歴などを確認します。
主な確認事項は次のとおりです。
- 最初に腫れたのはいつか
- 腫れが何日続くか
- かゆみや蕁麻疹があるか
- 食物や薬剤との関係があるか
- 家族にも同様の症状があるか
- 腹痛や喉の腫れを経験したことがあるか
必要に応じて血液検査を行い、アレルギー関連の検査やC4、C1インヒビターの量・機能などを確認します。
特に遺伝性血管性浮腫が疑われる場合には、専門的な検査が診断に役立ちます。
治療方法は原因によって異なる血管性浮腫は、すべて同じ薬で治療できるわけではありません。
ヒスタミンが関係するタイプでは、抗ヒスタミン薬などが使用されることがあります。
一方、ブラジキニンが関係するタイプでは、通常の抗ヒスタミン薬が十分に効かず、専用の治療薬が必要になることがあります。
遺伝性血管性浮腫では、発作時の治療や発作を予防する治療が行われます。
また、薬剤が原因と考えられる場合は、原因薬剤の確認と変更について医師が判断します。
自己判断で処方薬を中止したり、市販薬だけで対応したりすることは避けてください。
【よくある質問】クインケ浮腫のまぶた写真に関するFAQ
Q1:クインケ浮腫のまぶたはどのように腫れますか?
A1:まぶたの深い部分が膨らみ、上まぶたや下まぶたが大きく腫れるのが特徴です。片目だけに症状が出ることもあり、腫れが強いと目が開きにくくなります。ただし、見た目だけでは診断できません。
Q2:クインケ浮腫は蕁麻疹がなくても発症しますか?
A2:発症します。血管性浮腫には蕁麻疹を伴うタイプと伴わないタイプがあります。特にブラジキニンが関係するタイプでは、通常の蕁麻疹やかゆみを伴わないことが特徴です。
Q3:クインケ浮腫の腫れは何日で治りますか?
A3:一般的には2~3日程度で改善することがあります。ただし、原因や病型、個人差によって持続時間は異なります。長引く場合や繰り返す場合は医療機関で相談してください。
Q4:熊切あさ美さんのクインケ浮腫は現在治っていますか?
A4:2026年7月のインタビューでは、月1回の注射と薬の処方を続けていると説明しています。完全に治ったという公表ではなく、治療を継続している状況です。
Q5:まぶたが腫れた場合、何科を受診すればよいですか?
A5:血管性浮腫が疑われる場合は皮膚科やアレルギー科が候補です。目の痛みや視力の異常などがある場合は眼科も検討してください。喉や舌の腫れ、呼吸困難がある場合は119番で救急車を呼んでください。
クインケ浮腫は、皮膚の深い部分や粘膜の下に浮腫が生じ、まぶたや唇、顔などが突然腫れる血管性浮腫です。
写真では、まぶた全体が大きく膨らみ、目の形が変わるほど腫れるケースを確認できます。一方、赤みやかゆみが目立たない場合もあり、一般的な蕁麻疹とは異なる特徴があります。
熊切あさ美さんが「めざまし8」で公表した15年以上の闘病経験は、原因が分からない顔の腫れに悩む人にとって、病気を知るきっかけとなりました。2026年7月のインタビューでも治療を続けていることが伝えられています。
最後に、覚えておきたい判断基準は3つです。
1. 突然のまぶたの腫れを軽いむくみと決めつけない。
2. 蕁麻疹やかゆみがなくても血管性浮腫の可能性を考える。
3. 舌や喉の腫れ、呼吸・嚥下の異常があれば直ちに救急対応する。
写真は症状を理解するための参考になりますが、病名を確定するものではありません。原因不明の腫れを繰り返す場合は、早めに専門医へ相談し、原因に合った治療につなげることが大切です。
主な根拠資料
- めざましmedia「熊切あさ美 クインケ浮腫の告白」(2024年12月26日)
- 公益社団法人日本皮膚科学会「蕁麻疹 Q15」
- 一般社団法人日本アレルギー学会「蕁麻疹/Q&A」
- 国立成育医療研究センター「血管性浮腫・遺伝性血管性浮腫」
- OTONA SALONE「熊切あさ美、46歳」(2026年7月14日)
- MSDマニュアル「血管性浮腫」