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【遠洋・近海・漁法別】仕事内容と勤務期間で年収はどう変わる?

芹沢 陽斗 芹沢 陽斗 • 更新: • 公開: • 読了約 12 分
目次

マグロ漁師の収入を比較するときは、船の大きさだけでなく、操業する海域や漁法、航海期間にも注目する必要があります。

水産庁が2026年10月に公表した資料では、遠洋マグロ延縄漁業と近海マグロ延縄漁業について、船舶数や航海期間、乗組員数が整理されています。

遠洋マグロ漁船と近海マグロ漁船の違い

水産庁・2026年10月公表資料



遠洋マグロ漁船
- 船舶数:133隻
- 主な規模:400トン級
- 1航海:約1年~1年半
- 乗組員:約23人
- 操業海域:世界各地


近海マグロ漁船
- 船舶数:211隻
- 主な規模:19トン級
- 1航海:約2週間~1か月
- 乗組員:約9人
- 操業海域:中西部太平洋



遠洋船は長期間にわたって海上で生活する働き方です。一方、近海船は比較的短い航海を繰り返すため、帰港する機会が多くなります。

遠洋マグロ漁師の仕事内容

主な仕事は以下のとおりです。

1. 漁具の準備: 釣り針や枝縄などの仕掛けを準備する。
2. 投縄作業: 長い幹縄に枝縄と釣り針を付け、海に投入する。
3. 揚縄作業: 投入した縄を引き上げ、魚を回収する。
4. 漁獲物の処理: マグロの締め作業、鮮度管理、冷凍保管を行う。
5. 船の整備: 漁具や機械、船体の点検・修理をする。

遠洋マグロ延縄漁業は、単純に魚を釣るだけの仕事ではありません。漁具の管理、冷凍設備の運用、安全な航海など、多様な技術が大切です。

近海マグロ漁師の仕事内容と航海スケジュール

沖縄県漁業協同組合連合会に掲載された近海マグロ延縄船の募集例では、1航海は約4週間です。

出港後、漁場まで4~5昼夜かけて移動し、漁場に着くと午前中に約2,000本の枝縄を投入します。その後、夕方から揚縄を行い、この操業サイクルを約18日間続けて帰港する仕組みです。

遠洋と近海では、同じマグロ延縄漁業でも生活リズムが大きく異なります。

漁法別の収入を比較すると?

マグロ関連の漁業には、延縄漁業のほか、集魚灯漁やパヤオでの一本釣りなどもあります。

例えば、宮古島漁業協同組合の募集情報に掲載されたマグロ集魚灯・パヤオ船の乗組員は、平均月給20万円という条件です。基本給10万円に加え、出港実績に応じた出来高が設定されています。

年間の出港日数は150~200日程度で、半年以上勤務した場合には水揚げ歩合もあります。

ここで注意したいのは、漁法が異なれば、操業時間、出港回数、収入の計算方法も変わることです。

延縄漁船の年収と一本釣り船の月給を単純に比較して、どちらが高収入とは判断できません。

【月収・手取り・ボーナス】マグロ漁師は経費を引くといくら残る?

マグロ漁師年収

求人情報に記載された年収と、実際に銀行口座に残る手取り額は異なります。

マグロ漁師の場合、一般的な給与所得者と同じように所得税や住民税、社会保険料などが関係します。ただし、乗船中の生活費や休漁期間の給与など、職場による違いも大きい仕事です。

月収から手取りを考えるときの注意点

例えば、月給30万円という求人を見つけても、その30万円が以下のどれに該当するかで実際の収入は変わります。

- 基本給のみなのか
- 歩合給を含む金額なのか
- 航海手当や職務手当が含まれるのか
- 税金や社会保険料を差し引く前の金額なのか
- 休漁期間も同じ給与が支払われるのか

特に歩合給が大きい船では、好漁だった年と不漁だった年で年間収入が変わります。

そのため、求人票の最高月収だけで生活設計を立てるのは避けたいところです。

休漁期間の給与も重要

遠洋マグロ漁船は長期航海が基本ですが、航海が終われば帰港後の休暇があります。

焼津まぐろ漁業株式会社では、航海終了後に40~50日程度の休暇を設けています。船員保険、雇用保険、厚生年金への加入や、海技免状の取得支援も案内されています。

また、株式会社太和の求人掲載例では、漁期中は最低保証25万円に歩合給を加算し、休漁期には月12万~13万円を支給する条件が示されています。募集年収は300万~600万円です。

このように、年間を通じた給与体系は会社ごとに異なります。

ボーナスや漁業配当は必ずもらえる?

マグロ漁師の賞与は、陸上企業のように年2回の固定賞与が必ず支給されるとは限りません。

代表的な支給方法は次の3つです。

- 固定額の賞与
- 水揚げ成績に応じた歩合給
- 操業成績に応じた漁業配当

近海マグロ漁船の求人でも、基本給に加えて漁業配当制度を採用する企業があります。

2026年10月に掲載された株式会社三高の求人では、月給30万~35万円に漁業配当を加える条件が紹介され、船長の過去最高実績として年収1,100万円が掲載されています。これは特定の実績であり、一般的な船長の平均年収や保証額ではありません。

高額な賞与や配当を期待するなら、支給実績だけでなく、配当の計算方法と最低保証額を確認することが大切です。

【未経験からマグロ漁師になる方法】求人・資格・向いている人

マグロ漁師になるために、必ずしも水産高校や海洋系大学を卒業する必要はありません。

未経験者を受け入れている漁業会社もあり、入社後に甲板作業や漁具の扱い方を覚えながら経験を積む道があります。

未経験者でも応募できる?

焼津まぐろ漁業株式会社の公式採用情報では、甲板員、機関員、船内事務担当者を募集しています。

募集要項では、学歴不問、特別な資格条件なしとしており、初心者も将来の幹部候補として育成する方針を示しています。

また、海技免状などの資格取得費用を助成する制度もあります。

遠洋漁船の求人では、株式会社太和も未経験者を歓迎しており、仕掛けづくりや投縄、魚の取り込み、締め作業などから仕事を覚える内容を紹介しています。

マグロ漁師になるまでの一般的な流れ



漁業会社・漁協の求人を探す

遠洋か近海か、延縄か一本釣りかを確認します。


応募・面接・仕事内容の確認

給与体系、航海期間、休暇、保険、船内生活について質問します。


乗船して基本作業を習得

甲板作業、漁具の準備、魚の処理などを経験します。


経験を積み資格を取得

海技資格などを取得し、専門的な船舶業務を担当できるようにします。


幹部船員を目指す

航海士、機関長、船長など、経験と能力に応じてキャリアアップします。

マグロ漁師に向いている人・向いていない人





向いている人

- 長期間の船上生活に適応できる
- チームで協力して作業できる
- 体調管理や安全確認を徹底できる
- 技術や資格を身につけて収入を伸ばしたい
- 歩合給による収入変動を理解できる




慎重に検討したい人

- 家族と長期間離れる生活が難しい
- 毎月同じ手取り額を必要としている
- 天候や操業状況による勤務変更が苦手
- 船内での共同生活に強いストレスを感じる
- 陸上での生活リズムを優先したい

収入だけで仕事を決めるのではなく、長期間の航海に対応できるか、休暇の取り方に納得できるかも判断材料になります。

【応募前に確認】マグロ漁師の求人で失敗しない7つのポイント

求人票に高収入と書かれていても、契約内容を詳しく見ると想定と異なる場合があります。

特に歩合制の船では、次の項目を確認してください。

1. 基本給: 毎月保証される金額はいくらか。
2. 歩合の計算: 水揚げ高の何を基準に配分するのか。
3. 配分単位: 1人歩や持代数はどのように決まるのか。
4. 休漁期間の給与: 航海終了後も給与が支払われるのか。
5. 経費負担: 食費、交通費、宿泊費、装備費などは誰が負担するのか。
6. 保険・福利厚生: 船員保険、雇用保険、厚生年金などへの加入状況はどうか。
7. 支給実績: 過去の新人船員の年間総支給額や歩合の実績はどうか。

特に重要なのは、最高年収ではなく、未経験で入社した場合の初年度の総支給額を確認することです。

船主や採用担当者に、通常年、不漁年、休漁期間を含めた年間収入の例を聞いておくと、入社後のギャップを減らせます。

【マグロ漁師の年収】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:マグロ漁師の平均年収はいくらですか?

マグロ漁師だけを対象にした全国共通の平均年収は公表されていません。求人例では、新人の遠洋船員で年収300万~500万円程度、近海船員で300万~400万円程度の条件が確認できます。

Q2:マグロ漁師で年収1,000万円を超えることはありますか?

あります。船長などの役職者や歩合給の高い船では、高額な収入実績が紹介されています。ただし、年収1,000万円は一般的な新人船員の水準ではなく、漁獲状況や役職、契約条件に左右されます。

Q3:未経験でもマグロ漁師になれますか?

なれます。学歴や経験、資格を問わず応募できる求人があります。最初は甲板員などとして乗船し、作業を覚えながら経験や資格を積んでいく方法が一般的です。

Q4:遠洋マグロ漁船と近海マグロ漁船はどちらが稼げますか?

一概には比較できません。遠洋船は長期航海で歩合給による収入の上振れが期待できる一方、近海船は短い航海を繰り返す働き方です。年間の乗船期間や休漁中の給与も含めて比較する必要があります。

Q5:マグロ漁師は船上で生活費がかかりますか?

食費や居住費を会社・船側が負担する求人もあります。ただし、すべての船で同じ条件とは限りません。食費、日用品、寄港地での費用、帰港後の生活費などを確認することが大切です。

2026年のマグロ漁師の収入を整理すると、雇われ船員の新人求人では年収300万~500万円程度が一つの目安です。近海船でも年収300万~400万円程度の募集例があり、歩合給や漁業配当によって収入が増える可能性があります。

一方、船主は数億円規模の水揚げや売上を扱う場合があっても、燃油費、人件費、船舶の維持費などの負担が大きく、売上と個人所得は一致しません。

今回の公的資料から特に重要なのは、次の3点です。

- 雇われ船員: 基本給、歩合給、休漁中の給与を含めて年間収入を考える。
- 遠洋・近海の違い: 航海期間や乗船人数、生活環境が収入と働き方を左右する。
- 船主・経営者: 水揚げ高ではなく、経費控除後の利益で経営状況を判断する。

2026年10月には国土交通省が新しい船員賃金実態調査を公開し、同月30日には農林水産省が令和7年漁業経営統計調査を公表しました。漁業経営を取り巻く燃油価格や魚価の変化も、今後の収入を考えるうえで見逃せません。

マグロ漁師は、努力や経験、資格によって高収入を目指せる仕事です。しかし、求人に書かれた最高年収だけを見て判断するのは危険です。

これから就職を考えている人は、初年度の保証給、歩合の配分方法、休漁期間の待遇、船員保険、休暇制度を確認し、自分の生活設計に合った船を選ぶことが大切です。

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コンテンツディレクター 芹沢 陽斗
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