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【点眼薬だけでは不十分?】SLTレーザー治療と緑内障手術の選択肢

百瀬 栞菜 百瀬 栞菜 • 更新: • 公開: • 読了約 11 分
目次

点眼薬を使っても眼圧が十分に下がらない場合や、眼圧が下がっていても視野障害が進行する場合には、レーザー治療や手術が検討される。

また、点眼薬の副作用が強い人や、毎日の点眼を継続することが難しい人にとっても、レーザー治療は選択肢になる。

選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)とは?

SLT:Selective Laser Trabeculoplasty

SLTは、開放隅角緑内障や高眼圧症に対して行われるレーザー治療だ。

房水の排出口にあたる線維柱帯にレーザーを照射し、房水の流出抵抗を改善することで眼圧を下げることを目指す。

特徴は次のとおり。

- 外来で治療できる場合が多い。
- 眼球を大きく切開する必要がない。
- 点眼薬の使用本数を減らせる可能性がある。
- 効果が弱くなった場合、再照射を検討できる。
- 効果の現れ方や持続期間には個人差がある。

日本緑内障学会は、SLTを点眼薬による治療の早い段階から選択する場合もあると説明している。

また、日本眼科学会によると、SLTは線維柱帯にレーザーを照射して房水の流出抵抗を改善する治療で、観血的手術と比べて眼圧下降効果は限定的だが、繰り返し施行でき、術後の合併症も比較的少ないという特徴がある。

SLTで注意したいこと

SLTを受ければ必ず眼圧が下がるわけではない。一時的な眼圧上昇や炎症などが起こる可能性もある。

また、SLTはすべての緑内障に適用できる治療ではない。主に開放隅角タイプが対象となるため、隅角の状態を確認したうえで判断する必要がある。

閉塞隅角緑内障にはレーザー虹彩切開術という選択肢もある

SLTと混同しやすい治療に「レーザー虹彩切開術」がある。

こちらは、閉塞隅角緑内障やその発症リスクがある人に対して行われる治療だ。

虹彩に小さな穴を開け、房水が流れる別の経路を作ることで、隅角が閉塞するリスクを軽減する。

つまり、SLTは線維柱帯の房水排出機能を改善する治療であり、レーザー虹彩切開術は虹彩に新たな房水の通り道を作る治療だ。

目的も適応も異なるため、どちらのレーザーが必要なのかを確認することが大切になる。

緑内障手術はどんな場合に必要?

点眼薬やレーザー治療だけでは目標眼圧を達成できない場合には、手術が検討される。

代表的な手術には次のようなものがある。

- 線維柱帯切開術:房水の排出経路を改善する。
- 線維柱帯切除術:房水が眼外へ流れる新しい排出経路を作る。
- チューブシャント手術:専用のチューブを利用して房水を排出する。
- 低侵襲緑内障手術(MIGS):比較的小さな切開で房水の排出を改善することを目指す。

どの手術が適しているかは、緑内障の種類や進行度、眼圧、年齢、ほかの目の病気などによって異なる。

手術には眼圧下降効果が期待できる一方、眼圧が下がりすぎる、術後に炎症が起きる、追加の処置が必要になるといったリスクもある。

大切なのは、手術を単なる最終手段と考えないことだ。病状によっては、早い段階でレーザーや手術を検討したほうがよい場合もある。

なお、緑内障の手術は失われた視野を回復させるものではない。あくまで眼圧を下げ、今後の視神経障害の進行を抑えるための治療である。

2026年時点で押さえたい治療選択の基準

2026年11月時点で、診療ガイドラインの公的な掲載情報として確認できる日本緑内障学会の最新版は、2022年発行の「緑内障診療ガイドライン第5版」である。Mindsガイドラインライブラリでは2025年1月7日にページが更新され、最新版として掲載されている。

同ガイドラインでは、薬物療法、レーザー治療、手術を患者ごとに選択する方針が示されている。

治療を選ぶ際には、次のような判断基準が参考になる。

- 点眼薬で十分な眼圧下降が得られ、視野も安定している場合は、現在の治療を継続する。
- 点眼の副作用や負担が大きい場合は、薬剤変更やSLTを相談する。
- 点眼しても目標眼圧に達しない場合は、薬剤の追加やレーザー、手術を検討する。
- 眼圧が下がっているのに視野障害が進行する場合は、目標眼圧や治療方法を再評価する。
- 閉塞隅角の場合は、発作予防を目的としたレーザーや白内障手術などを検討する。

【早期発見がカギ】眼圧検査・眼底検査・視野検査で確認すること

眼圧を下げるには

眼圧を下げる治療を始める前に、まず必要なのは自分の目の状態を正しく把握することだ。

眼圧だけを測定しても、緑内障の有無や進行度を十分に判断することはできない。

眼圧検査で分かること

眼圧検査は、眼球内部の圧力を測定する検査だ。

空気を目に当てて測定する非接触型のほか、点眼麻酔を使って角膜に測定器を接触させる方法などがある。

健康診断で眼圧が高いと指摘された場合には、眼科で再検査を受けることが大切だ。

一度の測定結果だけで治療の必要性を判断するのではなく、複数回の測定やほかの検査結果を確認する。

眼底検査・OCTで視神経の状態を調べる

眼底検査では、目の奥にある視神経乳頭を観察する。

緑内障では視神経の神経線維が減少し、視神経乳頭の中央部分のくぼみが大きくなることがある。

加えて、OCT(光干渉断層計)を使用すると、網膜や視神経周辺の構造を断面画像として確認できる。

自覚症状が現れる前の早期変化を発見する手がかりにもなる。

視野検査で見えない部分を確認する

視野検査は、目を動かさずに一点を見つめながら、周辺に現れる光が見えたらボタンを押す検査だ。

緑内障では視野の一部が徐々に欠けていくが、初期から中期にかけては本人が異常に気づかないことも多い。

そのため、定期的な視野検査で変化を追跡する必要がある。

日本緑内障学会によると、視野検査は慣れが必要で、初回は実際より悪い結果が出ることもある。重要なのは、一回の検査結果だけではなく、繰り返し検査した結果を比較して進行の有無を確認することだ。

検査を受ける頻度はどのくらい?

検査間隔は病状や治療内容によって異なる。

日本緑内障学会が示す一般的な目安は次のとおり。

- 眼圧測定・診察:数か月ごと
- 視野検査:病状に応じて年1~数回
- 治療開始直後や薬剤変更後:必要に応じて短い間隔で確認

病状が安定している場合には間隔を調整することもあるが、自己判断で受診を中断してはいけない。




見逃してはいけない急性緑内障発作の症状

急に眼圧が上昇する急性緑内障発作では、次のような症状が現れることがある。

- 強い目の痛み
- 激しい頭痛
- 吐き気や嘔吐
- 急激な視力低下や目のかすみ
- 目の充血や光の周囲に虹の輪が見える

これらの症状が突然現れた場合は、急性緑内障発作の可能性があるため、生活習慣の改善や通常の予約受診を待たず、直ちに眼科救急を受診する必要がある。

【眼圧を下げるには】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:眼圧を下げるために自宅でできることはありますか?

ウォーキングなどの適度な有酸素運動、禁煙、こまめな水分補給、カフェインの過剰摂取を避けることなどが挙げられる。ただし、これらは医療機関での治療に代わるものではない。緑内障と診断されている場合は、処方された点眼薬と定期検査を継続することが基本となる。

Q2:眼圧が20mmHg以下なら緑内障の心配はありませんか?

いいえ。正常眼圧緑内障があるため、正常範囲でも緑内障になる可能性がある。眼圧だけでなく、眼底検査や視野検査によって視神経の状態を確認することが大切だ。

Q3:コーヒーを飲むと眼圧は上がりますか?

短時間に大量のカフェインを摂取すると、一時的に眼圧がわずかに上昇することがある。ただし、通常の範囲である1日数杯程度のコーヒーであれば、過度に心配する必要はないと日本緑内障学会は説明している。

Q4:水を飲まないほうが眼圧は下がりますか?

水分を極端に制限する必要はない。短時間に大量の水を飲むと眼圧が一時的に上昇することはあるが、通常の水分補給は続けてよい。脱水を防ぐためにも、少しずつこまめに飲むことが望ましい。

Q5:緑内障の目薬を使えば視力は回復しますか?

緑内障の点眼薬は視力や失われた視野を回復させる薬ではない。眼圧を下げることで視神経の障害が進行する速度を抑えることが目的だ。見え方に変化がなくても、治療効果がないとは限らない。

Q6:眼圧を下げるレーザー治療は痛いですか?

SLTは一般に外来で行われ、眼球を大きく切開する治療ではない。感じ方には個人差があり、治療後に一時的な眼圧上昇や炎症が起こる場合もある。適応や注意事項については眼科医に確認したい。

Q7:眼圧が高いと言われたら、すぐに緑内障の治療が必要ですか?

眼圧が高いだけでは緑内障と診断されない。視神経や視野に異常がない高眼圧症の場合、経過観察となることもある。一方、眼圧やそのほかの危険因子によっては予防的な点眼治療を始めることもあるため、眼科で総合的に判断してもらう必要がある。

眼圧を下げるには、日常生活の改善だけでなく、自分の緑内障の種類や視神経の状態に合った医療を受けることが大切だ。

特に覚えておきたいのは、次の5つのポイントである。

1. 眼圧の正常値だけで安心しない。 正常眼圧緑内障もあるため、視神経と視野の検査が必要。
2. 適度な有酸素運動を続ける。 運動を過度に制限する必要はないが、頭を下げる姿勢や強いいきみには注意する。
3. 水分とカフェインは適量を守る。 水分を極端に制限せず、カフェインの大量摂取を避ける。
4. 点眼薬やレーザー治療を適切に選ぶ。 副作用や治療負担があれば、薬剤変更やSLTについて主治医に相談する。
5. 定期検査を継続する。 眼圧、眼底、OCT、視野検査を組み合わせて進行状況を確認する。

緑内障は、一度失われた視神経や視野を元に戻すことが難しい病気だ。しかし、早期に発見し、適切な治療を続ければ、長期にわたって視機能を維持できる可能性がある。

眼圧の数値だけに一喜一憂するのではなく、自分にとって適切な目標眼圧を知り、医師と相談しながら治療を続けること。それが、将来の見える生活を守るための最も確かな取り組みとなる。

主な参考資料:日本眼科学会「緑内障」、日本緑内障学会「緑内障Q&A」「緑内障診療ガイドライン第5版」、公益社団法人日本眼科医会「よくわかる緑内障―診断と治療―」「緑内障といわれた方へ―日常生活と心構え―」、Mindsガイドラインライブラリ。

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調理師免許を持つフードライター。栄養価は公的食品データベース、調理法はメーカー公式表記で裏取りし、旬は市場入荷記録を参照します。

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